託のしやすさという観点からの改善と委託の促進を図る上で、専門里親の制度化を検討することは、非常に重要であると考えている。今回の調査結果をみると、必要である、実現には課題が多い、必要でないの三つの割合であらためてみると、ファミリー里親がおおよそ4:3:2、専門里親がおおよそ4:4:2と、賛成・積極派は半数に達していない。また、我が国の文化や子育て観を踏まえた制度として、親族里親の検討も重要であるが、その割合は、おおよそ2:3:5という結果であった。
総じて新たな制度の採用には消極的な傾向が示されたと言える。自由記述の全体的な傾向から言うならば、里親制度変更に積極的な意見は、そのことによって里親制度の拡充に期待を寄せるという意向が働いており、一方消極的な意見は、現状でも対応が可能であり、とくに変更を必要としない、里親等の意向を考慮するならば、一体的に実施すべきなどの意向が主であると受け止められた。
児童福祉の観点からの里親制度の運営は、きめ細かなケアワーク、ケースワークを前提として、そのプロセスの結果もたらされるものであり、わが国の里親制度は、児童福祉における専門性の一領域として確立される上では、多くの課題が残されていることをあらためて示すものであった。