故積極的に活用されないのかを検討することは、今後の我が国の児童福祉をさらに充実させるために、欠かせない課題である。1996年12月、児童福祉法の大改正に関する具体的な意見を提示した中央児童福祉審議会は、その中で里親制度の運用の実態等を十分踏まえた上で制度の在り方について検討を行うことが必要であると述べている。
里親制度の運用の実態については、おおむね5年に1回全国的に実施される養護児童実態調査で、概要は把握されているが、しかし、未委託の里親に関する本格的な調査は行われておらず、また本制度の運用の主柱となる児童相談所、都道府県・指定都市、あるいは里親よりもきわめて高い割合で児童養護に従事している乳児院・養護施設が、里親制度についてどのような見解を持っているかについても、これまで十分な調査がなされていない。
このため、本研究では里親制度の運用の状況を詳細に調査し、活用が不十分である背景・原因を探るとともに、活用にあたっての今後の方策や里親制度のあり方について検討を加える。