IV 研究報告 (厚生行政科学研究)
里親制度のあり方について その1 行政調査研究から
主任研究者(上智大学教授) 網野 武博
研究目的
約1000年前にその起源を持つ我が国の里親による養育制度は、養子縁組による擬製的親子関係と異なる特徴を持って、児童福祉上きわめて長い歴史を刻んできた。里親制度は現行児童福祉法の制定とともに、養護を必要とする児童のための重要なケア資源として児童福祉制度に組み込まれ、その後半世紀を経た。
しかし、養子縁組とは異なる児童福祉制度としての里親制度を真に確立する上で、数々の問題と課題を抱えてきた。里親の希望者、里子を受託している里親数は、長期的に漸減傾向を示し、特に児童相談所から里親に児童を委託する率は約25%と、きわめて低い状態となっている。
養護を必要とする児童を一般家庭で養育するという貴重な社会資源である里親制度には、集団養護とは異なる様々な特長がある。この制度が何故我が国で進展せず、何