ます。お金目当ての斡旋や国際養子斡旋については既に諸外国ではきびしい規制をし、国際養子の手続きについてもガイドラインが検討されています。子どもの人権をまもるうえでもみすごすことのできない緊急の課題となっています。
(6) 「乳児院・養護施設との役割分担」について
養護児童全体が減少している中で、里親委託が進展しない原因に「施設措置優先」あるいは「確保」を意味する「乳児院・養護施設との役割分担」がいわれています。
養護を必要とする子どもたちへの対応が、施設中心となっていることはさきにも触れました。その結果として見過ごすことのできない問題として、養護施設で長期に生活せざるを得ない子どもが存在していることがあります。
平成5年に名古屋市所管の養護施設にいる子どもたちの乳児院・養護施設の在籍年数を調査しました。5年以上在籍している子どもが半数をこえ、そのうちの30%は乳児院から養護施設に措置変更された子どもでした。とりわけ10年以上在籍している子どもは、64%が乳児院から養護施設に措置変更された子どもでした。子どもたちが成長し、自分の家庭を持つ時に、モデルとなるべき姿を体験していないことは、大きな困難となります。