名古屋市児相は、こうした中で、平成5年と6年に生後一ケ月の子どもを里親に紹介し、生後2〜3月での委託を各1件行ないました。その経過をふまえ平成8年度から新生児委託にもふみきり、8年度には3件、9年度には2件の委託を行いました。明確に「新生児から」を希望する里親家庭も増えており、「望まない妊娠」等による一部の子どもについては新生児時点での委託が、子どもに親と家庭を与えるという里親制度の目的をもっとも望ましい形で実現できるものと考えられます。
(4) 特別養子縁組への期待
特別養子縁組の認容ケースの多くを里親がしめています。特別養子縁組制度の定着は、委託(受託)期間を特別養子縁組の準備期間(監護期間)に変えただけでなく、里親委託期間の短期化や特別養子縁組の用件を持つかどうかが里親委託のおおきな条件となってしまうなどの課題を明らかにしてきました。
一方で、「要保護性」の判断や「父母の同意」について、一般的には厳格な解釈運用がなされそれが定着しつつあることから、児童相談所で取り扱うケースのなかには、明らかに子どもの利益と親の利益が対立する事例も見受けられます。虐待事例を巡っ