考えます。両者は制度として、明確に区分されるべきではないでしょうか。里親等家庭養育運営要網には、里親委託のことと養子縁組の斡旋のことが盛り込まれています。そこでは養子縁組の斡旋をする際も「里親として養育することを勧めることが適当である」とされ、里親委託を経て養子縁組をするという流れを作り出しています。こうした実態が有り、里親制度と養子縁組の混同(例えば親からは『子を取られてしまう』というとらえかたや、福祉の関係者からすら里子=養子縁組対象者とのとらえかた)は続いています。代替的な家庭的環境ではあるが、養子縁組の可能な子は、里親制度とは区分された養子縁組の斡旋ですすめ、里親制度は、一時的・代替的な家庭的環境を必要とする子どもたちのための制度として整備が必要です。
里親制度と養子縁組制度を区分して取り扱うことにより、里親制度の目的や対象児童のとらえかたについてもより厳密な検討ができます。具体的には養子縁組希望者への研修と養子縁組を希望しない里親での研修テーマの区分、実親に対するガイダンスの差異などが早急に明確化されることとなり得ます。その際には「里親」の名称についても、再検討することが必要であると考えます。