閉じこもり口をきかなかったこともあります。それをおじさん、おばさんは内心ハラハラしながらも黙って見守っていてくれました。冷静になると善美さんの思いがわかりました。母親の教育を受けたことのない私を思ってのことだと、善美さんの愛情を感じ、食事のしたくを手伝うようになりました。善美さんは女性としての細やかな心遣いなどを教えてくれました。
また、善美さんの功郎さんと接する姿が母親を知らない私の目に新鮮に映りました。私もこんな女性になりたい、ほのぼのとした家庭を築きたいとあこがれるようになりました。晃央くんを心の支えに、善美さんを姉のように慕って高校の3年間を送りました。
卒業後はおじさんの勤めている会社に就職しました。会社の人たちはみんな良い人ばかりでした。その中に、健康的に日焼けした笑顔のさわやかな人がいたのです。その人との交際が始まり、結婚を夢見るようになりました。
しかし、結婚へのあこがれはあっても、自分の境遇を考えると一生結婚できないと思っていました。たとえ父が生きていたとしても、父を一人残して嫁ぐことなどできないとも思いました。それから四年間の交際期間を経て、彼からのプロポーズを受け