その子どもたちの中にうちの子もいました。養護施設の先生が言うのにはですね、うちの子は捨て子でしたから親がいませんでしたけど、大事に育てられてたものですから、大人とみると誰かれかまわず寄ってくることは苦手でした。とっても心の静かな子っていうか、初めて見た時は、なんというのかな、非常に物静かな落ち着いた子でした。養護施設の先生が言うには、ボーとしているといったらボーとしている。気を引くために、お菓子とか持って、お菓子を｢ここ、入れていいよ｣っていったらすっと入れるでしょ。そうすると子どもの態度がそれぞれ違うんです。つまり、袋詰めしても人の分まで持ってく子がいるとかね。そういう子が多かったですよ。その中で彼は、乳児院のしつけが良かったみたいで、自分の欲しい物だけとって後は関心を示さなかったですね。なんかいい子でした。それで１ヶ月たって、私たちと一緒に暮らし始めたんです。
