私共は里親になりますまでは、子供は神様からの授り物と聞いていましたが、私共には何の罰か神様からの「お恵み」がありませんでした。結婚しまして数年間は子供を育てるよろこびも、又いない淋しさも知らずに、老後は、ただ金さえあれば良いと言う浅はかな考えでいたような気がしてなりません。
今考えてみましたら、私共にも神様が人間形成の道開きとして、家庭に恵まれない子供等との出会いを与えて下さったものと思います。その子供を育てる中で、その子等が私共を一人前の親としてつくりあげてくれたものと思い感謝をしています。
25年の歳月の中には生後5ヶ月の赤ちゃんから2歳児・4歳児・小学生から高校生と数多くの子供に縁がありました。そしてこの子供等が成長の「証」として私共の心に大きな歴史を残してくれましたので、この歴史を私共のこれからの人生の「灯」として生きて行きたいと思っています。
こうして子供等との生活の中で生甲斐をつくってくれましたが、私共が子供達にしてあげられるものは何であろうかと考えました時、地位も、名誉も、財産もありません。ただ、子供の幸せを物や金で満たす親であってはいけないと言う考えだけは人並に持っています。