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結局この話は諸事情で破談となるのですが、あの二ヶ月間は本当に楽しく充実した日々でした。私はあれほどまで人に頼られ、求められたことはおそらくなかっただろうと思うのです。しばらくはショックで、小さな子をみるのも辛い時期もありましたが、やはり子供を育ててみたいという思いはあきらめられず、今年になって里親会とは別に大阪の家庭養護促進協会にも登録しました。その時、相談員とのカウンセリングで「なぜ子供が欲しいのか、もう一度良く考えてみてはいかがですか」と質問されて以来、自問しています。答えはまだ見つかっていません。しかし、どうしてそんな事を考えなければならないのでしょう?まわりの人々は結婚後暫くするとやがて子供を生み育てていますが、いちいち何故子供が欲しいのかなどと考えてから子をもうけているのでしょうか?そんなことはない、と私は思います。そんなことに明確な答えなど必要ないのではないでしょうか。子供に恵まれない私たちだけが、このような難しい事を考えなければならない不条理にやりきれない思いです。『子供が欲しいから』では理由にならないのでしょうか。もっとも、その相談員も私たちを差別しでそのような質問をされたのではないと思います。ただ、

 

 

 

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