ている。また、子どもの数が少なくなっていることや、地域社会における近隣とのつながりが希薄化していることから、地域社会の子育て機能が低下してきている。
・ こうした中、育児情報の氾濫や学歴偏重の風潮の中で子育てに対する親の不安が増大したり、子育てを母親がひとりで抱えることで孤立化するといった問題が生じており、家庭への支援を必要とする児童が多くなってきている。
・ また、児童虐待や家庭内暴力などにみられるように、こうした問題が家庭に潜行しがちなことから、それが深刻化、複雑化する前の早期発見と迅速な対応がますます重要になってきている。
(2) 問題の多様化・複雑化
戦後間もない時代、社会的支援の主たる対象は、貧困あるいは親の死亡により親の監護を受けることのできない児童であった。
・ しかし、児童をめぐる状況が変化する中、今日では、親がおり、家庭の経済状況は必ずしも貧困ではないが、その健全な成長のために何らかの社会的支援を必要とする児童の割合が増加している。また、問題の発生原因やその態様についても、家庭、学校、地域社会等における複数の要因が絡み合った結果生じることが多くなっており、多様化・複雑化している。
・ 特に、虐待、不登校、いじめ、性非行などの問題が深刻化してきており、新しい視点からの対応の必要性が増大している。中でも、現行の児童福祉法の下で適切な対応が十分図られていないと指摘されている虐待などの問題については、法制度及び運用の在り方を含め総合的な検討を進めていくことが必要である。
・ 問題の多様化・複雑化の背景として、商業主義的な性風俗の蔓延など児童を取り巻く社会環境が悪化していることもその原因の一つとして指摘されており、地域社会においてこうした環境の改善に向けて不断の努力を行っていくことが必要である。
(3) 今後の支援にあたっての考え方
児童に対する支援にあたっては、児童を保護し養育するだけでなく、一人ひとりが個性豊かでたくましく、思いやりのある人間として成長し、自立した社会人として生きていくことができるようにすることを基本理念とすべきである。
・ 児童の自立を支援するにあたっては、問題の多様化・複雑化に対応して、児童の最善の利益を尊重するため、一人ひとりの児童の問題の発生原因及びその