13. 少子社会にふさわしい児童自立支援システムについて(中間報告)(平8.12.3)
(中央児童福祉審議会基本問題部会)
昭和22年に児童福祉法が制定された直接の契機が戦災浮浪児の保護救済であったように、戦後間もない時代、社会的支援を必要とする児童の大半は貧困あるいは親の死亡を理由とするものであった。しかし、その後半世紀が経過する中で、少子化の進行、家庭や地域の子育て機能の低下など、児童を取り巻く状況は大きく変化している。これに伴い、児童をめぐる問題は、特定の児童や家庭の問題ではなくなっており、その態様も多様化・複雑化している。さらに、今日、虐待や不登校、性非行などの問題が新たな社会問題として取り上げられている。
次代を担う児童が個性豊かでたくましく生きていくことができるよう、一人ひとりの児童の健全な成長を支援することは、特に少子化傾向が定着した今日、社会が最も優先して取り組むべき課題の一つである。
当部会では、こうした問題意識の下に、新しい時代にふさわしい児童自立支援施策の在り方について検討を重ねてきたが、この度、これまでの検討の結果をとりまとめたので、以下のとおり報告する。
1. 児童をめぐる現状と今後の支援の在り方について
(1) 児童をめぐる状況の変化
1] 児童の最善の利益の尊重
・ 「児童の権利に関する条約」の批准(平成6年4月)等を背景として、児童の最善の利益の尊重という考え方が定着してきている。
・ 児童の自立支援のための制度や施策を考えるにあたっては、一人ひとりの児童にとって最善の利益を確保することを基本とすべきである。
2] 少子化がもたらす児童の成長への影響
・ 少子化傾向の中で、親から過度な干渉を受け児童の自立性が損なわれたり、児童自身が兄弟姉妹や近隣の仲間の子どもたちの中で切磋琢磨する機会や思いやりを培ったり、我慢することなどを学ぶ機会が減少し、社会性が育ちにくくなるなど、児童自身の健やかな成長にとって問題が多くなっている。
・ また、学歴偏重の風潮が児童の社会性を育む上で悪影響を及ぼしているといった指摘や、高学歴化が進む中で児童が社会的に自立する年齢が上がってきているといった指摘がある。
3] 家庭や地域の子育て機能の低下
・ 核家族化の進行の結果、世代を通して子育てを学ぶ機会が少なくなってき