問題視されている。これらの要養護児童のうち、幼児の占める割合が高くなっているため、児童養育者の資質の向上が強く叫ばれているのである。
そこで、核家族化傾向の中で主として乳幼児をもつ保護者の養育機能が低下しやすい最近の状況に対処するために、今後一層里親制度を普及し、これらの児童の適切な養育を図る必要がある。
従来、ともすると里親に委託される児童は保護者のいない児童など、比較的長期間にわたって監護に欠けるものが主であったが、とくに最近の核家族化の進行に伴い、比較的短期間ではあるが家庭養育機能の低下による要養護児童の増加に対処するため、昭和49年9月から短期里親制度の運用を図ることとし、その周知並びに普及の徹底に務めている。平成9年3月末日現在で短期の登録里親562人、委託里親173人である。また、56年度から国の予算措置で短期里親開拓事業が始められたことでもあり、この面の一層の推進が期待されている。
(3) 心身障害児里親の振興
心身に障害のある児童を里子として養育することは、欧米先進諸外国では当然のこととして普及している。わが国では、少数の篤志家が実践しているに過ぎないが、数県でこれら里親に手当の加算をするなど振興努力の萌芽がみられる。
国においても、昭和57年8月の中央児童福祉審議会障害関係三特別部会合同会議要望書「心身障害児(者)福祉の今後のあり方について」の中で、「地域社会に根ざした福祉施策の展開として、心身障害児に対する里親制度の活用や小規模施設の措置を推進することが必要であり」と表明され、こうした情勢を受けて、昭和60年、昭和61年度の2年計画で「障害児家庭養育機能に関する研究」を行った。この研究結果を踏えて近い将来何らかの施策のとられることが期待される。(参考資料9参照)