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険法においては、在宅介護を担う「指定居宅サービス事業者」やケアプラン作成を行う「指定居宅介護支援事業者」になろうとすれば、必ず、法人格を取得しなければならないからだ。もちろん、営利目的としての法人格取得であれば、株式会社や有限会社を設立すればいいわけだが、公益・非営利を掲げて実践活動を行っている市民互助型団体にとっては、その使命を社会的にまっとうしていくためにも、NPO法人格取得が前提条件となるのである。

 

NPO法人とは?

NPO法の目的は、「公益の増進」のためにNPOとしての法人格を付与すること。ボランティア団体や市民互助型団体が法人格を確保することによって、より活発な活動をし、それによって社会の多くの人々の利益になるようにしてほしいというもので、定義として次のように規定されている。

(1) 特定非営利活動を行う団体であること。特定非営利活動分野は次の12分野。

1] 保健、医療又は福祉の増進を図る活動の活動

2] 社会教育の推進を図る活動

3] まちづくりの推進を図る活動

4] 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

5] 環境の保全を図る活動

6] 災害救援活動

7] 地域安全活動

8] 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

9] 国際協力の活動

10] 男女共同参画社会の形成の促進を図る

11] 子どもの健全育成を図る活動

12] 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡・助言又は援助の活動

(2) 営利を目的としないこと

(3) 宗教活動、政治活動、特定の公職の候補者の支持、もしくは公職にある者又は政党の推薦、あるいは反対を目的としするものでないこと。

 

定款は団体の市民自治における憲法。安易に変節する、させることがあってはならない

つまり、NPO法の目的は、ボランティア団体や市民団体が法人格を確保することによって、より活発な活動をし、それによって社会の多くの人々の利益になるようにしてほしいというものなのである。

従って、NPO法人は、従来の財団法人や社団法人などの公益法人が、行政からの監督や許可制度等に縛られていたのに対して、そういった束縛からより自由で自律的に活動できるようになっているのが特徴。そのため法人格取得においても、これまでの民法上の「許可」とは違って、限りなく「届け出制」(準則主義)に近い「認証」という制度であり、設立申請に当たっては、各団体は定款や役員名簿、事業計画書など十六種類の書面を添付した申請書類を所轄庁(複数の都道府県に事務所を置く団体の場合は経済企画庁、一カ所の場合は都道府県)に提出しなければならないが、その必要書類が正しく書けており、そろってさえいれば設立は可能になる、はずである(「NPO法人格・申請から設立までの流れ」参照)。

ところが、こうした「認証」作業というのは前例がないため、所轄庁は、どこかに依拠しようとする傾向がどうもあるよう。その判断材料の大きな要素が「定款」だ。所轄庁によるNPO法人申請受付のための手続き説明会や相談の過程で、この定款がネックとなって、NPO法人申請を見送る、あるいは定款の見直しを余儀なくされている市民団体が続出している。

 

 

 

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