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「実務経験五年、当該業務従事日数九〇〇日」および「実務経験一〇年、当該業務従事日数一八〇○日」の解釈をめぐって、「一日とは何時間程度を指すのか」「実務の範囲はどこまで含むのか」「実務の実績証明は個々の団体の日報等の記録によって証明されると解釈していいか」などの質問が相次いだ。これらに対して厚生省側は次のように答えた。

1]記録があれば一日何時間でも稼働日数とするがその日数を確認する実務経験証明書が必要。2]この証明書は雇用契約の有無でなく、一定の指揮命令系統で反復・継続性する活動で団体活動として認められることがポイントになる。従ってボランティア団体でもよい。2]「ぼけ老人をかかえる家族の会」のような家族を含めた当事者団体の活動でも、「活動の内容にもよるが、団体の活動としてやっている介護活動」は実務経験とみなす。4]実務研修受験について職能団体を優先することは特に考えていない。5]二級ヘルパー等の資格を取得した場合、資格取得以前の実務経験は有効とする。

 

公開質問会の事務局は、解説および質疑応答を添えた議事録を厚生省の要綱(細則)とともに全国約八〇〇の市民団体に郵送した。市民団体は都道府県や市町村と実務研修受験について打ち合わせをするときの参考資料として活用することができる。

こうした市民団体側の一連の働きかけにより、厚生省が都道府県に通達する介護支援専門員実務研修受験資格についての運用要綱に一〇〇パーセントでないにしても民間非営利団体にも受験資格があることが明確に盛り込まれた。これは市民主体の介護保険制度をつくるために高く評価できる。それがどこまで実効するかどうかは都道府県や市町村など現場での運用次第である。

 

 

 

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