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公的介護保険 入門講座 No.5

 

 

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<要介護認定のプロセスは?>

 

● 訪問調査・主治医の意見書→認定審査会で決定

介護保険のサービスを受けたいと思ったら、本人や家族はまず保険者である市町村に申請し、「介護が必要か」、また「どの程度の介護が必要か」について、要介護認定の審査を受けなければならない。その結果は保険の給付を求める本人に通知される。「軽度」「中度」「重度」「痴呆」「最重度」の要介護状態、あるいは「虚弱」の要支援状態のいずれかに相当すると認められれば、その程度に応じたサービスを受けられる。審査を行うのは、市町村が設置する「介護認定審査会」で、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される。

ただし、すべての市町村に一つずつ審査会ができるとは限らない。人材や財政的な理由などで単独設置がむずかしい市町村は他市町村と共同設置できる。また審査を都道府県へ委託することもできる。

審査は2つの基礎資料をもとに行われる。一つは訪問調査の結果市町村の調査担当書が、申請したお年寄りたちの住まいを訪ねて、食事や入浴などの日常生活動作や問題行動の状況についてチェックしたものだ。

訪問調査を行う際は、公平で客観的な判断が必要とされるため全国共通の調査票が使われる。また、調査担当者は研修を受けた市町村の職員ということだが、民間の人選も市町村に委ねられる。看護婦、保健婦、介護福祉士、ソーシャルワーカーなど専門職が調査に当たる見込みだ。市町村から委託を受けた介護支援専門員、いわゆるケアマネージャー(必要で適切な介護サービスのメニュー=ケアプラン=を作成する専門家)が訪問調査に来る場合もある。もう一つ、審査の基礎資料になるのが、かかりつけ医(主治医)の意見書。お年寄り本人の心身の障害の原因となった疾病や負傷についての意見や、医学的管理の必要性などを記載したものだ。かかりつけ医がいない場合などは、市町村が指定した医師か市町村の職員である医師に診断を受け、意見書を作成してもらうこになる。

 

● 申請から認定までは30日以内

申請から要介護認定の審査結果か出るまでに、どのくらい待たされるのだろうか。厚生省は「できる限り迅速に行われる仕組みとし、認定の効力は申請時にさかのぼって生じる」としている。申請してから30日以内に認定か行われ、その結果を本入に通知する。30日以内に認定ができないなら遅れる理由を教えてもらえる。

一刻も早く介護サービスがほしいなら認定前でもサービスを受けることができる。この場合、利用者はいったんサービス提供者に費用を全額支払い、認定後に市町村から自己負担分を除いた9割分の払い戻しを受けることになる。

 

 

 

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