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行政は総合マネジメントに徹し、ケアプラン作成もサービス提供もこれまでの一部委託主義の枠を大きく超えて、全面的に民間の営利・非営利団体に委託することになる。

都市部には、さまざまな指定事業者やケアプラン作成機関が登場して競争がはじまり、福祉サービスの質と水準を高めていくことにもなろう。その結果、サービス利用者は多様な選択肢から自分にあったサービスを選ぶことができるようになる。しかし地域によっては、一部事業者の独占状態が生じ、サービス利用者にとって選択の余地がなくなり、結果、サービスの質が低下することにもなりかねない。

保険給付のキーパーソンともいうべき「介護支援専門員」の受験資格をめぐって、厚生省や都道府県との間でこの「実務経験」の意味や受験資格についての解釈がそれぞればらばらであり、結果として、民間の草の根団体には、受験資格すら与えられないという懸念が全国各地に広がっているというわけだ。

民間非営利団体であれ、職能団体のように組織的圧力の強いところであれ、受験資格に「偏り」が少しでも懸念されるような現状では、本人の自己決定権を守ることはむずかしい。真に利用者のためのシステムとなるようこうした問題点を明確にし、解釈の相違や現場担当者による事務手続き上の認識のギャップを公式に是正する。それが今回の厚生大臣への要請書の趣旨であり、公開質問会の意義であった。

 

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90歳の夫と86歳の妻のお世話をするヘルパー(右)。千葉県流山市で。

 

広い選択権で利用者本位のシステムに

「試験」の運用要綱(細則)は、すでに近日中に都道府県に対して通達されることになっており、その概要はほぼ厚生省では固まっていた。そこで一日も早くと、六月一六日の公開質問会が開催された。

質疑応答の概略は次のとおりである。

 

 

 

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