日本財団 図書館


ティア活動をする場合、かかわっている相手の「いつもと違っている様子」を発見できる力を身に付けておく必要があります。例えば、「いつもは元気がある人なのに、今日はなんだか元気がない」とか、「あそこのお年寄りの家、いつもなら窓が開いているのに今日は閉まっている」とか。そんないつもとの違いを介護や看護の専門職に伝えることが、ボランティアが果たすべき重要な役割だと思います。

 

038-1.gif

看護婦の腰痛を防ぐための「サポートベルト」の使い方を実演する村松さん

 

訪問看護の仕事をやっていて、よかったなあと感じるのはどんなときですか。

自宅で患者さんを看取った家族の方が、わざわざ私たちを訪ねて来て涙ながらに「自分にとって最高の看病ができた」といってくださったり、「家族がひとつになれました」と手紙で伝えてくださったりすると、「お役に立ててよかった」と思います。

訪問看護というのは、在宅で患者さんを支えている家族の悩みや迷いにきちんと添いながら、看護を行っていく仕事でもあります。

今は事業の責任者としての仕事があるので、私自身が直接、家庭を訪問して看護を行う機会は少なくなりましたが、できる限り患者さんや家族に電話で語りかけ、安心感を持ってもらうようにしています。死期が近づいている患者さんに声をかけると、受話器を通してでも、とても喜んでくださいます。

がんの末期状態でありながら、私のために折り紙でひな人形や鹿の置き物を作ってくださった方もいました。その人にはICUの制服を着た私のポートレートと折り紙細工を一緒に撮影した写真を送って差し上げました。患者さんには「看護の技」だけではなく、「看護の心」もお届けしたいと思っています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION