訪問看護の仕事をやっていて、よかったなあと感じるのはどんなときですか。
自宅で患者さんを看取った家族の方が、わざわざ私たちを訪ねて来て涙ながらに「自分にとって最高の看病ができた」といってくださったり、「家族がひとつになれました」と手紙で伝えてくださったりすると、「お役に立ててよかった」と思います。
訪問看護というのは、在宅で患者さんを支えている家族の悩みや迷いにきちんと添いながら、看護を行っていく仕事でもあります。
今は事業の責任者としての仕事があるので、私自身が直接、家庭を訪問して看護を行う機会は少なくなりましたが、できる限り患者さんや家族に電話で語りかけ、安心感を持ってもらうようにしています。死期が近づいている患者さんに声をかけると、受話器を通してでも、とても喜んでくださいます。
がんの末期状態でありながら、私のために折り紙でひな人形や鹿の置き物を作ってくださった方もいました。その人にはICUの制服を着た私のポートレートと折り紙細工を一緒に撮影した写真を送って差し上げました。患者さんには「看護の技」だけではなく、「看護の心」もお届けしたいと思っています。