今求められるのは、総合的な視点 肩書きのない自分を見つめる
堀田 もともと仕組みや肩書きに縛られていない分、女性は素直に反応して、どんどんいろんなことを吸収していかれる。これは男性にとって大きなハンディですよ(笑)。
安田 確かに(笑)。ぼくは「素人の専門家」という造語で表現しているんですが、通常専門家といわれる人たちが持っていない専門性。これをここの主婦のみなさんは自然に身に付けているんです。それが住民運動の大きな財産をつくっているんだなあと実感しました。
堀田 つまり「人間の専門家」なんですね。物事全体を見る専門家。日本で一番欠けていたところでしよう。
安田 そうなんです。それを自然に口にするんですよ。大事なのは包括性だと。自分たちでできること、できないことは何か。そのためにどうすべきか。そうして必要に応じて医師や理学療法士や行政までどんどん引っ張り込むんです。まいりました(笑)。
堀田 たとえば専門的な話をした時でも、学生は知識として積み重ねることが専門家への道と考えて学びますが、団体のみなさんは、まず自分の中に全体の土俵があって、これはこの部分の話だときちんと位置付けていく方が多い。そういう方の質問はとても的を得ていて、それでさらに自分の理解の土俵も広がっていくんですね。