日本財団 図書館


そもそも国生さんが『ふきのとう』を設立させようと思い立ったのは、離れて暮らすご両親の高齢化問題に直面したのがきっかけだという。

「両親は夫婦二人で暮らしてたのですが、年を取ってだんだん体が弱ってきた。でも、干葉と神戸とに離れているので、そうそうは飛んで行けない。それで行政に相談したところ、"援助の対象にはならないので行政ではヘルパーを派遣できないが、民間の助け合いグループなら何軒かある"と、団体を紹介してくれましてね。私はその時に初めて、こうした草の根団体の存在を知ったわけなんですが、本当にありがたかった。と同時に、自分たちの町にも、絶対に必要だと思ったんです」

国生さんの住む四街道市は、首都圏のベッドタウンとして大規模な団地を抱える町。当時はまだ、高齢化率はそれほど高くはなかったものの、高齢者だけの家庭や、高齢の病人や障害を持つ人のいる家庭が増加し、急激な高齢化が進むことが予想されていた。

「自分たちの住む四街道市を、誰もが安心して年を取れる町にしたい。そのためには、今から地域づくりをはじめないと大変なことになる」。そう思い立った国生さんは、早速、PTAの仲間や近所の友人に声をかけ、勉強会を開始。そして、その一年後には、「細かいことはやりながら考えようと、一〇名ほどで、のんきなスタートを果たした」という。

一九八八年の一〇月のことである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION