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り、また「1個当たり200万円、国と県から運営補助金」が下りてそれがすべて疑惑の対象金になっているような発言なのだが、厳密にはふれあいセンターで行われる事業を支援するための運営補助金は最高でも一〇〇万円。残りの一〇〇万円は、管理費として別枠の上限であり、光熱水費、冷暖房費、清掃費、修繕費に用途が限定されていて支払い先も自ずと限定される。また管理運営の補助金は、財団法人阪神・淡路大震災復興基金から二分の一、県そして市町から各四分の一の拠出であって、国と県から下りるわけではない。また、氏のデータをもとに計算すれば一〇〇〇ヵ所の予算は二億ではなく、二〇億だろうが、これは計算ミスの校正漏れだろうか。

「ボランティアのことでも何でも、神戸で起こっていることなら、大概は聞いているが、そもそも堀田力やさわやか福祉財団という名前はここらで知っている人はほとんどいない」と、事情通を自負するお二人は首を傾ける。そうでなくとも仮設間では、親類や知人を通じて他の仮設の情報も口コミであっという間に伝わってくるという。中間支援団体として、いわば直接的な活動を行う団体を縁の下からサポートする当財団の役割からいえば知名度がなくて当然のことなのだが、一方で、活動意義を知ってもらうという意味ではまだまだ広く働きかける必要もあると反省。

もちろん、どんなものにも抜け道はある。ふれあいセンターも例外ではないかもしれない。申請者が悪意を持って領収書や書類を偽造する、あるいは複数と指導されている会計担当者が結託するなどすれば、一時的に横領は可能かもしれない。しかし、ふれあいセンターの補助金に関係する事件では、これまでにある自治会の会計担当者が補助金の一部を持ち逃げして逮捕されたケースの他は、特に表立って問題となった事件はないという(同課)。

ところで、なぜ前述の仮設を真っ先に訪ねたかというと、ここの自治会の運営はしっかりしているという評判を得たからである。

この自治会では、復興基金と市の助成金各百万円で運営し自治会費は徴収していない。会計は随時、住民に公開しており、ふれあいセンターの掲示板には毎月の収支が張り出されている。「公金なのでオープンにして当然」という姿勢は頼もしい。しかし本来あるべき姿が目立つということは、逆に、それだけ他の仮設自治会などに問題が出ているともいえる。その点を尋ねると、「確かに自治会やボランティア団体の中には問題があるところも多い」と厳しい言葉を向ける。

「外のボランティアに完全に依存してふれあいセンターの運営も任せっぱなし、あるいはいい加減な活動をやっている自治会がある。また、そこに付け入るよう

 

 

 

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