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飛び交う噂の背景に何があるのか?

震災直後からこれまで、悲惨な状況にも負けず復興に力を注ぐ被災者を支援する多くのボランティアの存在は、日本が市民社会として生まれ変わる新しい機運を予感させた。その後も各地で着実に市民ボランティア活動が広まってきたが、もし、そんな神戸で、何らかの疑惑が発生しているなら、それは神戸の問題としてだけではなく、広く議論が必要だろう。地域コミュニティー再生をはかる被災地神戸、そこで顕在化した市民活動の実態は、今後日本全国、どこでも起こり得る事象だからである。

六月三日。いくつかの仮設を訪問。実際に仮設に住む人たちに、ふれあいセンターの上納金疑惑やボランティア活動への評価などを投げかけてみた。

「上納金云々については初耳。だいたい実際に会計を担当する自治会ならともかく、システム的に不可能。荒唐無稽な話だね。それにふれあいセンターは一番多い時でさえ二〇〇そこそこだったんだから」と、発言の記事を見て即座にその矛盾を指摘し、疑問を投げかけたのは、六甲アイランドのある仮設自治会の会長と副会長。

 

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阪神・淡路犬震災復興基金では「住宅対策」「生活対策」「産業対策」「教育対策」などを柱に事業を実施。基金の規模は9000億円、兵庫県と神戸市が平成7年4月1日に設立した。

 

確かにボランティア活動に一家言もつ田中氏にしては、疑惑発言におけるデータに認識不足も目立つ。

「10カ所やってれば2000万、1000カ所やったら2億の予算だから、その中の幾らかは、1000万ぐらいは上がっていっちゃう」という発言があるのだが、ふれあいセンターは最盛時でも県内二三二カ所(同長寿社会課)。

「仮設100世帯に1個の割合でふれあいセンター」というが、実際にはすでに五〇戸以上から設置してお

 

 

 

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