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「ふれあいセンターの計画段階で、区の行政担当者から運営を依頼されました。まだ仮設住宅ではほとんど自治会がなく、センターを開設するには、鍵や運営管理費などの暫定的な受け入れ先が必要だったんです。できるだけ早い時期に住民による管理委員会をつくり、全面移管することを目標に引き受けました」

その後、東灘区内五ヶ所のふれあいセンターの鍵と通帳の保管を行ったが、同年一二月にはすべて住民移管。その後同団体は後方支援に回っており、「期間中はもちろんその後も儲けや上納金など一切ありません」(中村代表)と一笑に付す。

同団体は早くから被災者の心のサポートに重きを置いた活動を行い、仮設を移動してまわる「茶話やかテント」は住民の好評を得て、行政がふれあいセンター事業を立ち上げる大きな流れをつくった。会計もしっかりと公開するなど、運営・活動全般における実績への自信がその言動から例える。

そもそも「市民・連合ボランティアネットワーク」の活動は、独立運営・会計で行われている。さらに当財団はそこに参加していたボランティア団体の活動すべてを把握し、管理する立場にはない。当然のことながら、それぞれが独立の団体であり、個々の理念と責任において活動は行われているからだ。仮に万が一、どこかの団体の誰かによる公金の横領があっても、あるいは正常な資金であっても、神戸に限らず資金が個別のボランティア団体から当財団に自動的に「上がって」くるような「系列」やシステムなど、全く存在していないのである。さわやか福祉財団では、すでに情報公開規定も制定し、公正で開かれた運営を基本としている。第三者である相手が公開を拒むもの以外は、会計書類はもちろん、事業活動に関する会議録、メモなどもオープンにしており、そのような事実がないことは、この点からも一目瞭然である。

 

<六甲アイランドのある仮設住宅の住民構成表>

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この数字は震災から1年余りたった1996年3月の時点で集計されたもの。60歳以上が全体の6割以上も占めており、「仮設の高齢化」を如実に物語っている。ふれあいセンターでは、こうした高齢者の「心」をサポートし、自立生活支援に向けた活動も行ってきた。

 

 

 

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