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者として生き残る可能性がある。愛知県高齢者協同組合が独自に実施しているヘルパー派遣事業は月間一一〇〇時間を超えた。高知高齢者協同組合は今年一月から難病患者も対象にしたヘルパー派遣をはじめた。また神奈川県、北海道などの高齢協では弁当の配食サービス事業に取り組んでおり、福岡県高齢者協同組合は市の助成を得て一日二五〇食の老人給食を実施している。これは介護保険実施後、市町村のいわゆる横出しサービスの指定事業者になるための布石になる。

 

生協の法人格を取得する

指定を受けるためには法人格を持つことが要件になっているが、高齢協のほとんどは任意団体である。そこで日本労働者協同組合連合会は各高齢協に消費生活協同組合の認可を受けるよう指導している。「農協や中小企業協同組合は生産者団体としての性格が強い。またNPO法による非営利法人は制度がスタートしたばかり。高齢協を法人化するなら、やはり生協がいちばんなじみやすい」(厚生省地域福祉課)と、国は組合員以外にもサービス利用を開放する員外利用を認める方針だ。

現在、生協法人として認可されているのは三重県の高齢協と愛知県高齢者協同組合。認可の条件は愛知県の場合、「第一に組合員数二〇〇〇人以上であること。もう一つは安定した収支が見込めるということ」(岡田裕成愛知県高齢協常務理事)だった。愛知高齢協の組合員数は二四三五人、母体である愛知県高齢者就労事業団は二〇年を超える事業実績を持っていた。ところが、他の高齢協を見ると組合員一〇〇〇人を超えるところは三団体だけ。平均組合員数は四〇〇人足らずで見るべき実績を持つ組合はそれほど多くない。高齢者による高齢者のための全国ネットワークづくりも容易ではないだろう。

ただ、高齢協ならではの強みは「元気老人に働く場を提供すること」(永戸氏)。これから介護保険のサービス事業の受注を巡って営利、非営利の事業体がしのぎを削ることになるが、高齢協の事業活動の担い手は、収入の多少よりも生きがい就労を求める高齢者。その点が他の事業者にとって脅威になりそうだ。

 

 

 

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