というのは、税制上の優遇措置は誰かが制定してくれるものではなく、NPO自身の自己努力によって可能にするものだからです。NPOが力を合わせて活動しそれが社会にとってプラスになるということを多くの人が知ることによって、「NPOに税制上の優遇措置を与えるべきだ」ということになるからです。このことを背景にして、ロビー活動を熱心にしていかないと優遇措置の獲得はできないでしょう。
ただし、そもそも「自分の団体はこじんまりとした活動しかしたくない」というような人や団体は、敢えてNPO法人になる必要はありません。
どのような団体に法人格が必要か
それではいったい、どのような団体に法人格が必要なのでしょうか。団体にとって、契約行為が必要になる活動をするところは、NPO法人になっておくことです。「介護保険法」における「指定居宅サービス事業者」となって自治体と契約する団体、民間企業との提携のもとに事業をしていこうとする団体などは、NPO法人になっておくことをおすすめします。
また、専用の事務所があり専任の職員がいる団体、もしくは近い将来にそのようになる団体も、法人格の確保が必要です。法人格を持っていない団体は、契約対象にならない場合が多いですし、事務所契約や雇用関係でも個人責任にならざるを得ないからです。
大雑把にいって、私の個人的な感覚でいえば、団体の年間予算五〇〇万円程度が、法人格を取得するかどうかの境界線になると思われます。
また、よく誤解されるのですが、「NPO法人になると営利事業は実施できない」と思っている人が多いのです。しかし、NPO法人でも「非営利事業」だけではなく、「収益事業」を行うことは可能です(『NPO法』第五条)。ただし、
1] 収益事業に関しては特別の会計にすること
2] この部分については課税されること
3] 収益については団体の目的のために活用されなければならないこと
という制限がありますので、実施する場合にはこれらの点をしっかり確認した上で、計画していくことが必要です。