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「NPO法」が成立

本年三月に、待ちに待った「特定非営利活動促進法」(以下、NPO法)が成立しました。この法律によって法人になる団体を「特定非営利法人」(以下、NPO法人)といいます。日本の法制度の中に、財団法人や社団法人などに加わった新しい法人が生まれたのです。

この法律の成立のために、本誌読者のみなさんやボランティア団体・市民互助型団体も精力的に動きました。NPO法は、法案成立のための署名活動、学習会、集会、議員への働きかけなどの活動を通じて、市民がつくった法律として生まれました。

また、NPO法は政府提案の法律ではなく、議員提案の法律です。各党の議員と市民・ボランティアとの話し合いを通じて法律案がつくられたことは、日本では珍しいものでした。市民の政治力の向上という観点からも興味深いことです。

さて、これからはこのNPO法をどのように活用していくのか、という段階となりました。

まず、現在ある団体をNPO法人にするのかどうか、法律ができたからNPO法人をつくって新しい活動を開始するのかどうか、という検討をはじめることになるでしよう。

ただし、NPO法が施行されるのは、都道府県の「条例」ができてからなので、申請できるのは九八年一ニ月以降になります。

NPO法人として申請するときに、議論になるのはNPO法人になって団体としてどのような得をするのか、面倒なことがあるのかということでしょう。しかし、この議論のたて方は少しおかしいのではないでしょうか。

ボランティア団体や市民団体にとっての法人格は、個人にとっての人権と同じです。まず「この制度を発展させる」という観点から対処することが基本になければいけないのではないでしょうか。そのようにして、多くの団体がNPO法人になり、社会に影響力を与えていくことが望ましいと私は思います。

一方、現状のNPO法には税制上の優遇措置がないので、優遇措置ができてから申請すればよい、という人もいます。この考え方も、どうかな?と思います。

 

 

 

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