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ティアさんがいるんですよ。相手は奥さんを失って、身体も不自由なおじいさんですがね、財産全部あげるから、結婚して、私が死ぬまで面倒みてほしいという。淋しいってこともあるんでしょうね」

「ボランティアさんの気持ち次第でしょう」と村田さん。

「可哀そうだからしてあげてもいいんだけど、財産目当てと思われたり、財産でごたごたするのはいやだというんですね」

「じゃ、半分さわやか福祉財団に寄付してもらったら」と、これも村田さん。

「いやぁ、あなたに全部あげだい、使ってほしいというのがご老人の気持ちでしょう」と、岡本さんが推測される。

結局、結論は、ボランティアさんが世間体など気にせず自分の気持ちを確認して決めることが大切で、もし結婚する場合に財産をどうするかはご老人と関係者の納得をしっかり得ておくことが必要ということになった。

こういった問題は、個別のケースに応じて知恵を出していけばなんとか解決できるが、いつまでたっても解決方法が見つからない難問も、たくさんある。

たとえば、制度や仕組みは、行政が責任を持って組み立てるので、ボランティアや市民団体は口を出しなさんな、という感覚の行政マン。それはその人の確信なので、理屈にも耳を貸さず、実例を知る気もない。そういう人が行政のキーとなるポストにいるとき、どうすればいいのか。

たとえば、心の作用を全く認めないお医者さん。「ケアプランを立てるとき、医者がそれを仕切るのは当たり前でしょう。医者の判断と違うことを言いたいなら、しっかりしたデータを持って来なさいよ。医者は、専門家として、すべてデータに基づいて判断してるのだから」。そうはいっても、心の作用についてのデータを取るのはむずかしい。だからといって、心が存在しないことになるのだろうか。

それから、これはボランティアのリーダーの側の問題で、「公的介護保険」とか、「NPO制度」とかいうと、それだけでアレルギー反応を起こして、その中身の話が全く頭に入らなくなる方がおられるのだとか。

さて、どうすればいいでしょうか。

 

 

 

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