日本財団 図書館


それの、どこが魅力的なのか?連合構想に真っ先に飛びついた浦臼町の役場に聞いてみよう。

「うちの町は人口二八○○人。つい最近までの三ケ月間は医者がいなくなり、よその市立病院から日替わりで医師を派遣していただいていたほどです。国が求めるような介護保険事業は人材的にも財政的にも単独ではできるはずがありません」。水野勝靱福祉課長は広域連合に多くの期待を託す。

 

生みの苦しみと、新たなる挑戦

介護認定審査委員会には医者は必ず一人参加しなければならないのだが、浦臼町のような過疎地には開業医も居着かないのが実情。一般会計の歳入に占める町税収入は一〇%に満たず、歳入の大部分を地方交付税と起債および国や道からの支出金などで賄っている。

協議会に参加する他の五市町を含めて全国の過疎・高齢地域を抱える市町村の財政は、程度の差こそあれほとんどが、いわゆる「三割自治」や「二割自治」。台所事情は浦臼町と五十歩百歩である。この不況の影響は地方ほど深刻だ。それだけに広域連合の行方は注目を浴びているわけだが、実現の前には一つ大きな問題が残っている。介護保険料の金額設定である。

奈井江町の六五歳以上人口のうち、老齢年金受給者と住民税非課税者を合わせた低所得者層は五四・七%、歌志内市ではその比率は八三・六%にも達する。このため低所得者層が負担できない介護保険料が、納税者の保険料に上乗せされて高額になる。さらに広域連合に参加する市町の低所得者層の比率も自治体によって異なるため自治体間の保険料の格差

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION