被保険者が保険の給付を求めると、市町村はその人がどの程度の介護サービスが必要かを判定する。それを実際に行うのが介護認定審査会だ。介護認定審査会を広域的に設置するというのは、本来なら五町一市がそれぞれ一つずつ独自に介護認定審査会を持ち、合わせて六つの審査会ができるはずのところを、そうせずに、一つの審査会にまとめて共同運営するということ。各市町村が抱える優秀な人材を出し合うと同時にひっ迫する市町村財政の負担を一銭でも軽くしようというねらいである。
協議会の試算によると、単独設置の場合、その経費はおおむね一自治体当たり平均二三〇〇万円に達し、半額が国庫補助になるとしても一一五〇万円を一般財源で負担する計算だが、広域設置なら一自治体の負担額は三〇%程度に押さえられる。
こうしたメリットを引き出すために協議会が考えている手段が広域連合だ。すなわち、五町一市は介護認定審査会の設置をはじめとする介護保険事業も広域連合によって共同運営しようとしているのである。いってみれば広域連合は市町村のジョイントベンチャー。しかも今回のように、県などの指導を受けず市町が独自に立ちあげる"草の根連合"は全国でもめずらしい。