(12) 関連の専門機関と連携して
保育園における育児相談は、これまでの保育を通して得られたノウハウを基盤に行われるところに特長があります。しかしながら、そうした保育園での相談にはなじまないあるいはより専門性が求められるような相談も少なくありません。こうした場合、速やかに他の相談機関を紹介・斡旋することになります。
例えば、保育園に入園している子どもの体に傷が多数あるのに気づいた担任が母親にたずねると、中学生の兄による虐待であることがわかり早速相談を進め、相談の内容から、児童相談所を紹介しています。このケースでは、結局離婚した母親が勤めに出ている時間が長く、家に子ども2人でいるときに乱暴をすることから、この子を一時的に児童相談所が預かることになりました。
また、長い間子どものアトピー性皮膚炎で悩んでいた母親には、専門の医療機関を紹介するなど、必要に応じて他の相談できる専門機関につなぐことも相談員の役割です。
ただし、こうした場合依頼者と話を十分にし、納得させて進めていく必要があります。それができないときには、トラブルの原因ともなりかねません。そうしたケースを見てみましょう。
「6歳になる子どもで、やや自閉的な傾向が見られる。親自身にはそれほどの認識はなく、通っている幼稚園の先生から言われて相談に来た。 数回観察した後、近くの障害児センターに行くように話した。その親は納得しない様子であったが相談を終了した。その後相談に来なくなり、そのままの状態になっている」
このケースは、相談の必要性を感じていない依頼者に、子どもの障害についての理解と、障害児センターに行く理由を納得させようとする配慮に欠けていたために、相談が中断した例です。