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これは依頼者にとって一概に悪いとは言えませんが、先に述べたように解決に向けての判断はあくまで依頼者自身の考えを尊重するという基本原則からすると、できるだけ避けるべきでしよう。むしろ、話を十分受け入れると同時に、依頼者自らの考えややり方が適切であるかどうかを判断しながら、あくまで依頼者による解決への対応を見守る姿勢が相談員には必要になります。また、その場合依頼者の考えややり方が不十分に思えても、そこから解決に向けて相談を進めていくようにしましょう。言い換えると、まず依頼者を受容し、その時点から相談を通して自らが解決法を見つけ出していけるように依頼者を励まし、その成長を見守っていく姿勢が相談員には求められます。これを次のケースで見てみましょう。

「2歳8ヵ月になる男の子で、わがままで親の言うことを少しも聞かない。きつく言うと、大泣きし、いつまでも機嫌が悪く、どうしたらよいのかわからない」

という相談では、まず子どもの状況を詳しく聞きながら、依頼者の子どもへのこれまでの対応(育て方)をたずねてみます。そのなかできちんとした対応ができない場合には、その点を取り上げ、依頼者の考えを聞きながら、これからどうしたらよいかを話し合っていきます。例えば、依頼者が子どものこうした態度に対して「すぐに怒って大声を出していた」という、これまでのやり方に触れて「そうした態度をどう思っていますか」と問いながら、そのことに気づいてもらい、「それではこれからどうしたらいいでしょうね」とたずねながら、「それではこうしてみようと思います」と自らの考えを依頼者が話したとき、それか明らかに間違っている場合を除いて、認める方向でその後の相談を進めていきます。

 

 

 

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