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このように、相談を進めていく上でどうしても結論が先になって、結果として相手に押し付けた格好になる相談は少なくありませんが、依頼者の立場になって考えるとき、それがどんなによい助言であっても生きたものにはなりませんし、形式的な内容としてしか受け入れられない場合があります。

相談は結論を押し付けるのではなく、解決に向けてともに考えていく過程と言えます。

 

(9) 解決への判断は依頼者自身で

相談を依頼してくる親の話を聞いて、一緒に解決に向けて考えていくプロセスの大切さについてこれまで述べてきましたが、さらに重要な点として最終的には依頼者自身による判断を尊重するということが指摘できます。

「もうすぐ3歳になる子どもの保育について、保育園などの集団保育を受けさせたらよいのかどうか迷っている」

との相談に対して、集団保育の特長や保育園の生活を実際見学させて、判断の材料にしてもらうことがよくあります。これは話だけでなく、保育園の集団での生活を直に依頼者に見てもらうことにより、集団保育への理解を図る目的をもっています。しかしながら、そうは言っても最後にどう判断するかは、あくまでも依頼者自身による考えを尊重することが望ましいと言えます。

また同じようなケースとしては、例えば子どもの就学の場合についても言えます。就学を間近に控えた子どもに軽い障害(精神面)があって、その親から「できれば家のそばにある小学校に通わせたいかどうか」という相談に対して、その子どものこれまでの保育園における生活や発達の状況について伝えながら、小学校での生活や障害児のための学校の紹介などをし、事前に見学をしたり、話を聞いておくことが望ましいと助言しますが、どの学校に就学するかは、最終的には依頼者が判断することになります(もちろんその過程では教育委員会など行政機関とのかかわりはありますが)。

 

 

 

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