日本財団 図書館


こうした進め方にならないように相談を受ける者は注意する必要があります。そのためにも、話が広がりそうになったり、問題の所在がはっきりしなくなりそうなときには、そのつど、相談の内容を確認しながら話を聞くように心がけたいものです。それは、依頼者自身も話している内客がわからなくなることもよくあるからです。そのような場合には、話の主訴に沿った相談になるように、依頼者の話を整理しながら進めていく必要があります。

今回のケースで相談員は、取りあえずその背景にある問題点を整理すると、夫婦関係が主な原因であることが明らかになり、その結果子どものことを夫婦でよく話合う方向で解決を図っていくようにと励ますと同時に、保育園で生活している子どもたちの姿を観察するなかで、もう一度自分の子どもの存在を見つめ直すように助言をしています。

このように相談員は依頼者の話を十分聞くことから相談が始まりますが、相談の中心(主訴)は何であるのか、常に見逃さないように話を整理していくことを忘れないようにしましょう。

 

(8) 結論を押しつけないように

長い間、相談を受け入れている相談員のなかには、相談の内容を少し聞いただけで「それはこうですから、こうしなさい」とか、「その場合はこうすると間違いないですよ」と結論を先に言う場合がよくあります。もちろんこうした方法がすべて悪いとは言いませんが、「相談」ということから考えると、問題は少なくありません。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION