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(7) 主訴の整理を

最近、育児についての悩みを訴える親が多く見られます。その内容はさまざまで一口には言えませんが、実際に保育園の相談に寄せられたケースを取り上げて、相談を受ける者にとって何が大切なのかを考えてみましよう。

「この頃3歳になる子どもが少しも可愛くなく、疎ましいとさえ感じている。まだ、この子どもがいるために、買い物や遊びなど好きなことができないと思うと、一層子どもの存在に嫌気がさす。そんな自分にも嫌悪感を持っている。母親として生きることに不安を感じている」

こうした相談を訴える親が近年少なくないと言われていますが、ここでの相談の中心は、親自身の子どもへの感情とこれからの育児についての不安にあります。したがってそうした状況について、原因と考えられる点について依頼者の話を聞きながら相談を進めていくことになりますが、話のなかで夫婦の関係から夫(父親)の話や祖父母との関係(嫁姑の関係)さらには近隣における人間関係などに話が発展し、時として何が問題の核心なのか、言い換えると相談の主訴が何であるのかわからなくなる場合があります。こうした場合、相談を受ける者は、依頼者の話を聞きながら相談の「主訴」(相談したいと思っている主な点)が何であるのかを常に考えておく必要があります。

それが十分でないと、相談はまとまりがなく、相談員と依頼者の両者にとって問題の解決が図られないばかりでなく、単に時間の浪費で終わってしまうことになります。

 

 

 

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