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仮に相手の欠点や失敗したことばかりを指摘すると、依頼者は心を開いて話をする気持ちが失われ、次第に本当のことを言わなくなったり、「この人は私の話をわかってくれない」と思うようになり、相談が成り立たなくなることがあります。

実際の場面において相談を受ける者は、相手の欠点や失敗を十分理解するように努めながら、先の偏食のケースでは親の偏食傾向の有無に始まり、普段の食生活や生活全般に目を向けさせ、できることから始めるように話し、「例えば、お子さんが食べやすいように食事の内容や調理の仕方を工夫して、少しずついろいろなものが食べられるようにしてみてはどうですか。以前にも同じようなお子さんがいて、そうしてみましたから。お母さん(お父さん)ならきっとできると思いますよ」と励ますように話すのがよいでしよう。

このように、相手の考えややり方を一方的に非難することはやさしいですが、それでは相談を受ける資格はありません。相談に来る依頼者が相談員の助言を踏まえて、「それではこれからはこうしてみよう」と、前向きな姿勢になって取り組めるように励ましていくことが、相談員の果たすべき役割です。言い換えると、相談の基本は相手を否定するのではなく、全面的に受け入れ、常に励まし支えていく行為と言えます。

 

(6) 他人(他園)の悪口・陰口は避けるように

育児相談を進めていくなかで、相談の主訴(相談の中心となる部分)から離れて、他人への悪口あるいは陰口を言う依頼者がいます。

3歳になる男児をもつ母親が保育園の担任から「お子さんが他の子にかみついて困っています」と言われ、後にその母親は電話でその子どもの母親に連絡しました。

 

 

 

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