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しかし、それで相談が終わるというわけではなく、もう一度振り返ってみると、依頼者が十分納得していたかどうか、疑問が残るケースもあるのではないでしようか。その原因に依頼者に対して「わかりにくい」あるいは「難しい」ことばを使っている場合があります。例えば、子どものことばの遅れを心配し相談を依頼した者に「言語障害は、精神的な障害または身体的な未発達が原因で起こる場合が多いようで………」といった話をした相談員がいたそうですが、こういった話を「ああ、そうですか。わかりました」と納得する人は少ないのではないでしょうか。こうした場合、「まずお子さんにことばの遅れがあるのかどうか」について、その原因と思われることを依頼者にたずね、その内容に沿って話を進めていく必要があります。在園の子どもである場合には普段の保育園での様子を伝えながら、できるだけわかりやすく話をすることが望ましいでしょう。また、そうでない子どもの場合も、家庭での生活や発育発達の状況を聞きながら、相談を受けるようにすることです。また、相談を受ける側のなかにはさまざまな本を読んだり、研修などを通して専門的なことばをよく知っている者がいます。このこと自体は、決して悪いことではありませんが、相談を受けたときにそうしたことばを頻繁に使ったり、外国語を必要以上に使うのは適切とは言えません。もしどうしてもそのことばを使わなければならないような場合は、相手にそのことばの意味を説明してから話を進めていくようにします。

さらに、相手に納得してもらう相談としては身近な、例えば保育園の生活や入所の子どもの例から引用すると、わかりやすく説明でき、相手も理解しやすいでしょう。

とかくべテランと言われる相談員のなかには、必要以上に専門的なことばや、外国語を使いたがる傾向が見られますが、こうした姿勢は一概に好ましいとは言えません。相談員はことばを選択し、それを適切に使える方法を日頃から身につけるようにしたいものです。

 

 

 

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