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特に、依頼者の氏名や住所、夫婦関係や職業なども他に口外することは厳禁です。そのため、他の人に話すことはもちろん、同じ保育園の職員に対しても軽々しく依頼者の相談内容を話すのはさけるべきです。先のケースにみられたように、相談員が「何気なく」あるいは「不注意に」口外してしまったために、依頼者は抱えている問題の解決に向けたアドバイスを相談員から受けられないばかりか、周辺に自分の問題が広がってしまったと思いこみ、新たな悩みを生み出してしまいました。

このように、「依頼者の相談内容を守秘すること」がいかに大切であるかを相談を受ける者は常に認識し、相談に応ずる必要があります。言い換えると、相談員は「依頼者の利益」(=依頼者のプライバシーの保護)をどう守っていくべきなのか、といった相談上の基本的視点を忘れないようにすることが大切です。すなわち依頼者自身に関する事がらとその相談内容については他言しないことが相談を受ける者の絶対条件ですから、相談員はその点について常に認識するように努める必要があります。

 

(3) 保育園の特性を生かした育児相談を

保育園は、通常乳幼児の保育を目的に設置されていますから、一部の保育園を除くと、特別な相談のための部屋や設備が十分でないことがあります。また、主に電話による育児相談の方法をとっている保育園においても、特定の相談用の電話を設置していないところも少なくないのが現状と思われます。ましてや、子どもの送り迎えや園庭開放、さらには「育児教室」やサークル活動時を利用した相談などを含めると、保育園での育児相談は、環境面において相談を専門とした機関とは異なる状況下にある場合がほとんどです。

 

 

 

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