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(2) 依頼者のプライバシーを尊重しましょう

育児相談をしようとする依頼者は、さまざまな家庭状況や個人的な背景を抱えています。そのため保育園や相談員以外には知られたくないことがら(プライバシー)があるのが普通です。ですから、相談員は依頼者のどのような相談内容に関しても他に口外しないことが相談を受ける側の原則になります。すなわち、相談における「守秘義務」がそれにあたります。そうした基本原則が守られて、はじめて相談員と依頼者の双方に信頼関係が生まれ、相談が成り立ちます。しかし、なかにはその相談上の守秘義務が十分でなかったため、相談がその役割を果たせなかったケースがあります。

「家庭の問題について保母に相談したところ、それをほかの保母に話したために、その保母に保育園で会う度に『大変ね』と言われるようになっただけでなく、それを聞いた母親たちからも『それからどうしたの』と興味本位で聞かれるようになり、子どもの送り迎えが精神的負担になっている。また、そのことにより相談員である保母への信頼感が薄れてしまい、できれば別の保育園に移りたい」

これは、保育園で相談を行った母親の話です。おそらく、この母親は普段から面識のある相談員を信用して相談を行いましたが、結果として相談員が依頼者側のプライバシーを守れなかったため、不信感が生じたケースです。

依頼者のプライバシーとして考えられることとしては、依頼者の家庭状況をはじめ、子どもの問題など相談内容全般がその対象になります。

 

 

 

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