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(3) 非定型(オープン型)による相談

電話や面接による相談のほかに、保育園では子どもの送り迎えのときや、園庭開放を利用して適宜行われる相談があります。この形式は特別に場所や時間について「改まる」必要がない、どちらかというと「立ち話」的な方法であるため、電話相談と同様にこれまで多くの保育園で行われてきています。この方法の特長は、「気軽に話ができる」という点で先の2つの方法と大きく異なっています。そのため、依頼者の抱えている悩みや問題点を率直に相談員に伝えることが容易にできます。また、特別に相談のための時間を設定する必要がないため、依頼者および相談員の双方にとって時間的な拘束感が少なく、「普段のおしゃべりの続き」といった雰囲気のなかで話ができるため、相談自体が比較的スムーズに進められます。このように、どちらかというとかしこまらずに自然体で相談ができる一方で、注意したい点もいくつかあります。

まず、時や場所を選ばず相談ができる反面、周囲の状況、例えば騒がしかったり、落ち着かない場所での相談や周辺に人がいる場合などでは、抱えている問題が複雑で、時間がかかるような相談には適しません。そうしたなかで仮に相談を受けると、相談員はすべての内容を的確に理解できなかったり、適切なアドバイスを与えられない場合があります。こうした場合、相談後依頼者側に不満感や不信感が残るケースがみられます。この他、この方法では「その場限り」の相談も少なくなく、その後の依頼者へのフォローが難しいことなどかあげられます。しかしながら、電話や面接による相談に比べて場所や時間に拘束されず相談できるこの方法は保育園の育児相談の特性であり、育児に悩みや不安をもつ者にとって貴重な機会になりますから、不十分な点については相談を受ける側が配慮することにより「気軽にできる」育児相談として積極的に取り入れることが期待されます。

 

 

 

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