(3) 機上評価装置の改修設計[第4章]
第2章で示した試作評価システムの仕様に基づき、試作評価システムの機上側に相当する機上評価装置の改修設計を行った。
機上評価装置は主にACARS通信部(米国Orbital Science社製CNS-12)、データ処理部(PC)、およびデータ表示部(古野電気製DMS-80)から構成されるが、ACARS通信部は現在データの外部出力機能を有していないことから、米国Orbital Science社との間で綿密な調整を行いながらインタフェース設計を行った。また、データ表示部の検討にあたっては、表示項目および表示方法に関する運航者ヒアリングを実施し、詳細設計に反映した。
また、通信データを柔軟に分析することが可能となるよう、ACARS通信部およびデータ表示部からデータ処理装置に転送されたすべての通信データはテキストファイルにタイムスタンプ付きのログとして出力されるよう設計している。
(4) 動作確認テスト結果および評価試験計画[第5章]
本年度試作した地上評価装置の動作確認試験を実施し、来年度評価試験を行う上で必要となる機能が正常に動作するかどうかについて確認した。また来年度改修を加える予定となっているACARS通信機(CNS-12)の機能確認および実機搭載状態での電波干渉テストを実施し、来年度の改修に向けての問題点の洗い出しを行った。
(a)地上側動作確認テスト
1]単体テスト(平成10年10月19日〜23日、11月25日〜27日)
地上評価装置と擬似JDLCとの間を4Wクロスケーブルでモデムを介して接続し、各機能の動作確認を行った。その結果、全ての機能に対する正常動作が確認された。
2]開発評価用JDLC連接テスト(平成10年11月9日〜11月11日)
地上評価装置を東京中野にあるアビコムジャパンオペレーションセンターに搬入し、JDLC開発評価システムとの間を4Wクロスケープルでモデムを介して接続し、連接試験を行った。その結果いくつかの軽度な不具合が確認されたものの、原因究明後改修を行った結果、回線異常時の処理を含め、全ての機能に対する正常動作が確認された。
3]実運用JDLC遠隔接続テスト(平成11年3月1日)
川崎重工業(株)岐阜工場に地上評価装置を設置し、東京都中野区のアビコムオペレーションセンターに設置されている実運用JDLCと日本電信電話(株)が提供する3.4kHz(S)アナログ専用回線により接続し、遠隔接続テストを実施した。その結果、地上評価装置とアビコムJDLCとの間で正常に通信を行うことができることが確認された。