4.1.3 詳細設計方針
以下に詳細設計方針について述べる。
(1) 対象SARPsのバージョン
設計はSARPsのバージョンは、1.7を基準とした。バージョン1.7はワーキンググループD9の検討結果を盛り込み1998年11月にしてリリースされたバージョンである。(添付 SARPs訳参照)
(2) CSMAからTDMAへの変更
モード2で設計したCSMAの構成を基にTDMA対応構成へ変更、追加した。モード2では受信信号の検波出力がスレシホールドを越えることで、受信処理を開始する方式であったが、本設計のモード3に於いてはTDMAのスロット管理系からのタイミング信号を主に利用し、受信処理を行う設計とした。また、ノイズパルス等の擾乱による受信開始を防ぐようユニークワードの検出時間を拡大した。
(3) Mバースト処理機能の追加。
モード3特有の管理バーストであるMバーストに関する処理を追加した。これらの処理は、モード2に存在しない為、新たなハードウェアとしてTDMA制御部を追加した。また、Mバーストを用いた短時間の応答(ACK)が可能であるよう、各部の処理時間を吟味した。
(4) 3T構成への対応
モード3には種種の構成があるが、その中でも最も複雑な制御を必要とする構成が3T構成である。3T構成では、Mバーストのみならず、ハンドオフ・チェック・メッセージ(HCM)を用いて隣接周波数への自動ハンドオフ機能が実現できる。これらの機能が確認可能な試作システムを目標とした。
(5) 対象システム構成
モード3には、600NMの伝搬遅延まで考慮したロングレンジ構成と200NMの伝搬遅延に対応する標準レンジの2種類がある。本詳細設計では、モード3のスロット制御の基本を検討することが主目的であるため、標準レンジについてのみ設計する。
また、3T以外の構成として、4V、3V1D、2V2DがSARPsに記載されている。(Table3-49)本設計では、音声もディジタルも複数チャンネルを有する2V2D念頭に置き設計した。