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4. 設計内容

 

4.1 概 要

 

本項は、VDLモード3の試作システムに関する詳細設計について述べる。

 

4.1.1 目 的

 

本設計の目的は、モード3機能を実現、評価できるハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを設計し、リアルタイムデータ通信及び各種の運用構成の基本的動作を検証することにある。これにより、ICAOに於いて検討されているVDLモード3のSARPs検証に貢献するとともに将来の実用装置に最適な設計パラメータを提供する。

 

4.1.2 基本方針

 

詳細設計は、H9年度の基本設計と既に試作済みのVDLモード2システムを基本とし、モード3用のモジュール、ユニット、ソフトウェアを追加する方針で実施した。研究目的はモード3の基本機能の確認であり、基礎的な評価が行える試作システムを目指した。以下に前提となる基本設計方針を述べる。

(1) 3T構成が可能なデータ通信機能

リアルタイム空地データリンクには種種の構成が存在するが、その中でも通信制御が複雑な3T構成の実現を目標とした。

3T構成は、ダイナミックなスロット割り当てを用いることにより、トラフィックが小さく、運用セクターが細分化されていない空域に於いて遅延等の通信特性を改善できる可能性を有している。しかし、実機による検証は、世界的にも報告されておらず試作システムによる評価はSARPsの検証に有効であると考えられる。

(2) 音声機能に対する拡張性

モード3は、ディジタル音声伝送機能を持つ唯一のモードである。本研究は、主にリアルタイムデータ通信をテーマとしており、音声伝送特性を直接的に評価することは目的ではない。また、ボコーダの選定と認証が完了していない為、音声処理部(ボイスユニット)に関するSARPsは未だ確定していない。

しかし、今回の試作システムが、音声伝送に対応できる通信手段であることを実証することは重要であると考えられる。したがって、将来音声機能を追加できるよう基本的なインターフェイスを検討した。

(3) 評価システムへの配慮

本設計対象は試作システムであり、内部パラメータの評価や出力結果の確認が容易なハード構成とした。このため、装置の小型化は差し控え、テストポイント等による内部情報の測定ができる設計とした。例えば、ビットスクランブル機能をバイパス機能、スロット構成確認用テストポイントを設け、評価時における分析が容易な設計とした。

 

 

 

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