3. 運用評価シミュレーションの検討
3.1 目 的
現在、ICAO AMCPにおいてVDLモード3のSARPsの作成及び検証作業が行われている。AMCPにおいての検討は、技術的な要素が中心となっている。現在の計画では、 1999年にSARPsの完成を目指しており、2000年以降の運用開始が期待されている。
VDLモード3は媒体アクセス方式にTDMA方式を採用しており、1周波数で複数ユーザ・グループ(周波数に相当)を処理対象にできる特性を持っている。システム構成を変えることでユーザ・グループ数を変更できる。ただし、このシステム構成をどのように使い分けるかの検討は、ほとんど行われておらず、各ユーザ・グループをどのように区別して使用するか明確にされていない。
この運用評価シミュレーションの検討では、以下に示すVDLモード3の技術的要素の研究を行うとともに、モード3の使用方法について、現在日本国内で行われている通信を元にしてシミュレーションによる検証を行う。
・モード3の能力評価
空地間伝送遅延
システム構成との関係
航空機数との関係
メッセージ長との関係
処理容量
・リアルタイム性の特性評価
管理(M)バーストの特性評価
3.2 シミュレーションの検討
この章では、シミュレーションの検討を行うにあたり、以下の項目について記述する。
(1)モード3の特徴
(2)シミュレーションの概要
(3)シミュレーションのシナリオ
(4)シミュレーションでのシステム構成
3.2.1 モード3の特徴
モード3の最大の特徴は、媒体アクセス方式に時分割多重アクセス方式TDMAを採用し、 1周波数で複数のユーザ・グループを処理できること、また、音声とデータを同時に処理できることである。モード3のTDMAは、240msecのMACサイクルを単位として作動し、1MACサイクルは、複数のTDMAフレーム及びタイム・スロットから構成されている。