97年に開催されたWRC-97において、従来専用だったLバンドのAMS(R)S帯がジェネリック配分されたことを受けて、WGでの検討状況をノートし、ITU会合のための資料作り等を別途設置するWG/Fに委託することとなった。周波数問題に関するWG/Fは、航空委員会が、ICAO事務局の支援手段であったFMSGを廃止し、これに代わってAMCPに作業を委任してきたことを受けて設置することとしたものである。本WGは、今後、GNSSP等とも連携を取りながら作業を進めることとなるが、作業の性格からICAOの会議対応ではなくITUの会議に合わせて作業を行わざるを得ない点も了承された。
2.2 AMCP/WG-D9の討議内容
1998年9月にカナダ/オタワで開催されたICAOの航空移動通信パネル・ワーキング・グループD第9回会議(AMCP/WG-D9)における検討概要を以下に示す。
今回のWG/D9は、1998年4月に開催されたAMCP/5の決議結果を受けて提出されたボコーダ方式の選定方法と規格の変更及び確認方法の検討を行い、1999年3月に予定されているAMCP/6におけるSARPs案の採決に向けて活動方針を検討する目的で開かれた。
2.2.1 議事項目1(モード3SARPs(標準及び勧告方式)策定作業)
2台の機上局が同時に送信した場合の問題が提議された(STEP ON問題)。従来のAMシステムの場合、混変調音により送信競合は管制官に知られるがモード3の場合には、無音となり、航空機側は送信したと誤認し管制官には伝わらないケースが指摘された。
パイロット、IATA側から何らかの表示、または競合音により運用者へ知らせるべきであるとの議論あり。
VDLにより増加する使用チャンネルの選択方法が、AMCP/5により否決されたことに対する代替案の検討が行われた。
否決の理由は、
・チャンネル名にアルファベットが使用されており、従来の管制官のスキルに合わないこと。
・チャンネル名が直接周波数をイメージ出来ず、機上での設定に混乱を招くおそれがあること。
の2点があげられ、パイロット組合からは、ゼロで始まる5桁の数字から成る論理的なチャンネル割り当てが提案された。この提案でも、新たに増設されるアナログ・チャネルと、TDMAのチャンネルが混在しており、最悪の場合、TDMAの4つのチャネルが誤設定により使用不可能となる事が指摘された。