シート98
情報公開
1 情報公開の意義
情報公開制度とは、行政機関の保有する情報を対象として、国民がそれらの情報の開示を請求できることを意味します。国政レベルでも多くの国が情報公開制度を導入しています。たとえば、OECD加盟24カ国中、13カ国(スウェーデン、フィンランド、アメリカ、デンマーク、ノルウェー、フランス、オランダ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、オーストリア、ベルギー、韓国)がこの制度を有しています。また、情報公開の考え方をさらに一歩進めて、国民からの請求がなくても、インターネットなどを通じて、誰もが行政の有する情報にアクセスできるようにしている政府もあります。
ところで、情報の公開を求める権利は、表現の自由に由来すると考えられています。つまり、現代社会においては、行政と巨大メデイアに情報が偏在し、情報の送り手と受け手の分離が進んでいることから、表現の自由を実質的に保障するためには、単なる個人の情報発信のみならず、その前提としての情報収集についても法的権利を与えることが必要であるとの考え方です。
また、情報公開は、主権者としての国民が国政の在り方を決定・監視するという国民主権の観点からも有意義であると考えられています。つまり、主権者としての国民が、行政の有する情報を共有することができれば、必要に応じて行政過程に関与したり、行政執行をチェックできるようになるからです。
以上の観点から、情報公開のメリットとして以下のようなことが考えられます。
・調査、研究など、個人の知りたいという欲求に応えることができる。
・民間企業等が、経済活動を行う際の判断材料が提供される。情報収集に要する経費が削減されるため、より活発な経済活動が期待できる。
・行政情報入手に関わる汚職・腐敗の機会を減らすことができる。
・法令による規制や公共施設の立地などについて、国民の意向をより反映しやすくなり、その後の公務遂行が円滑に行われる。
・国民からのフィードバックにより、補助金や行政サービスの効率的な配分が行われる。
・国民のチェックにより、問題点や課題が明らかになり、よりよい政策形成に資する。
2 制度導入の際の留意点
(1)公開すべきではない情報
次のような情報は、公開すべきではないと考えられます。ただし、行政情報は公開を原則とし、いたずらに非公開情報を認めるべきではありません。
・国家の安全保障、外交、公安にかかわる情報
このような情報を公開すると、国の安全が害されたり、外国や国際機関との信頼関係が損なわれる危険があります。また外交交渉を行っている場合には、自国が不利益を被る場合もあります。
・個人の識別ができる情報