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シート92

 

「さすが係長」

 

私は、地域の仲間とサークル活動をしています。ひと月前に、サークルの代表者宛に市の文化センターから、有名な評論家による講演会の開催の案内がありました。それは、地域の文化活動の発展のため、市内の各サークルを対象に開催されるものです。参加人数は、会場の都合により各サークル5名までとなっていて、私達のサークルからも私を含め5名の参加者を決めました。

ところが、私達の代表者が、その頃に家庭に不幸があって、忙しさのために講演会の申込みをうっかり忘れてしまい、それに気づいたのが締切日の3日後、講演の2日前でした。

そこで、サークルの幹事である私は、急ぎ文化センターに駆けつけました。担当者が出てきたので、私は事情を話しました。

「何とかなりませんでしょうか。」と頭をさげましたが、

「先日の締切日で定員いっぱいとなり、申し込みは打ち切ってますから。」と言われた。

「5名全員とは言いませんから、3名でも、2名でもいいんです。・・・。」と再度頼んでみましたが、

「定員ですから、3名だろうと2名だろうと、だめなものはだめです。」とぴしゃり。

そこで私は、いったん引き下がり、玄関ホールの電話で別のサークルの知り合いの人に連絡をとり、事情を話してお願いした結果、2名分を私達のグループに回してもらえることになったので、事務室に戻って2名分の申し込みをしようとしました。

すると担当者は、「サークル同士の勝手な取引きは困ります。」と強い口調で言った後、「そのグループから2名の欠席届けを出してもらい、欠員が出たのを確認してからなら、その分の申し込みを受け付けましょう。」と言います。

私は、「そのグループの責任者の名前を知っているので、今ここで2名の欠席手続きをしていただければ、二度手間にならずにすむのでやって欲しい。」と頼みましたが、

「ルールはルールですからね。それに、十分な余裕をもって案内を出したのに、直前になってから何とかしてくれと言われてもね。大体が、あなた達のミスなんですからね。」と大声を出し、態度も硬化させてしまいました。

「困ったなあ」と思案していたら、奥の方から、「何をもめてるの」といいながら中年の職員が出て来ました。担当者が「ああ、係長・・・。」と振り向いて、何やら相談していました。相談が終わるとその係長は、「2名ぐらいの差し替えなら、問題ないですよ。」と言って、申込み用紙を渡してくれました。

私は、「さすが係長」と思いながら申込み用紙に記入しましたが、何かすっきりしない感じを抱いたまま玄関を出ました。

(議論のポイント)

・担当者の対応についてどう思いますか。

・係長の対応についてどう思いますか。

 

 

 

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