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シート87

 

サービス向上方策

 

公務が実施しているサービス向上方策には様々なものがありますが、ここでは長年多くの国で行われている「名札の着用」と、最近、いくつかの国で実施されている「ワンストップ・サービス/ノンストップ・サービス」について、取り上げます。

 

1 名札の着用

 

名札の着用とは、主に窓口業務に従事する職員に、自分の名前を記した名札を着用させ、各人にサービス向上を意識させようとするものです。つまり、名札の着用により、自分の名前が相手に認識されるため、自らの窓口対応に対する責任を自覚し、各人がよりよい対応に努めるであろうことをねらいとしています。

実際、この名札の着用は、窓口サービスの向上につながっており、名札を着用した職員の対応が丁寧になり、また、たらい回しが減少するなどの効果が見られています。国民からみると、対応してくれた職員の名前がわかるため、後から進捗状況を確認する場合にも便利になるなどの利点があります。

ところが、近年、この名札の着用を巡っては、問題も起きています。それは、プライバシーとの関係です。つまり、不特定多数の人々の前で、自分の名前をさらすのは、プライバシーの侵害にあたるというものです。窓口で名前を尋ねられれば名乗っており、特段必要もないのに、名前を知らせる必要はないのではないかとの意見もあります。最近では見知らぬ人の名前を利用した犯罪や、名前から住所や電話番号を調べられ、ストーカー行為に悩まされる若い女性などが出てきていて、名札の着用も一工夫する時期に差し掛かっているようです。

 

2 ワンストップ・サービス/ノンストップ・サービス

 

ワンストップ・サービスとは、住民に最も身近で便利な役所で、本来はその役所の所掌とは直接関係のないサービスを含めた一連の行政サービスを受けることができるシステムを言います。行政サービスが細分化され、複数の行政機関がそれぞれ別個に窓口業務を行っていることによる不便さを、コンピュータの導入による行政事務のネットワーク化により、解消しようとする試みです。

たとえばシンガポールでは、ICカード(国民全員に所持が義務付けられている身分証明書)に記載されている住所の変更を最寄りの交番に届けると、免許証、郵便貯金や自動車登録等17の行政機関において登録されている住所が自動的に変更されるシステムが確立されています。

ノンストップ・サービスとは、行政サービスが1年中、24時間受けられることを言います。市民の生活パターンの変化に対応して、民間では24時間営業のコンビニエンスストアやレストランが普及していますが、行政においても同様のサービス提供を試みようとするものです。

たとえば、米国では車両登録の更新、交通違反の支払い等について一日中受け付ける「24時間市役所」の試みが行われていますし、日本でも、いくつかの地方自治体で、住民票の写し等の文書を機械により交付できるようにし、そのサービス時間を延長する動きがあります。将来は、自動交付機を駅やコンビニエンスストアに設置することにより、さらに住民が利用しやすいようにすることも期待されています。

 

 

 

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