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シート81

 

公務員を見る社会の目

 

1 公務員の権限と社会の厳しい日

 

公務員は、法令に基づき行政活動を行い、場合によっては法令に違反した国民の自由を拘束し、あるいは制限するなど、強大な権限を有しています。このように法令の実施に携わる公務員は、自ら率先して法律を遵守するなど模範的な行動をとることが期待されています。したがって、公務員が法令に違反した場合には、民間人の場合以上に、社会は厳しくその法令違反を非難します。

公務の活動は、実に多岐にわたっており、公務員といっても、その職種や仕事の内容は様々で、また、組織における役割や組織階層によってその権限や責任は異なっています。そして、国民からは、職責、権限の大きい公務員ほど、法の遵守について、より厳しい目が向けられています。

すなわち、公務員は次のような点を認識する必要があります。

「法を実施する公務員としての使命感を自覚しなければならない。」

「他者の倫理を監視するものは、それ以前に自己の倫理に厳しくなければならない。」

 

2 公務員の公正らしさ

 

公務員に、公務執行の権限が与えられているのは、公務員が職務の中立性を守り、その技術的専門性をもって公平、公正な判断を下すであろうという信頼の上に成り立っています。

公務員の日頃の態度がだらしなく、また、公正らしさに疑念を抱かせるような行為を行っていると、たとえ実際には公正・中立に職務を行っていても、国民はそのように見てくれず、公務員に対する信頼が損なわれるでしょう。信頼できない人が勤務する組織に、自分たちに影響を及ぼす判断をしてもらいたくないと思うのは当然であり、ひとりの公務員に対する不信感が公務全体に対する不信感につながりかねません。

たとえば、公務員が特定の業者と飲食した場合、国民は、その費用が割り勘であったかどうかにかかわらず、仕事上の関係者と職場以外でも付き合っていることにより、公務員がその業者を特別扱いしているのではないかと疑いの眼差しを向けるのです。こうした国民の眼差しは、権限なり裁量権の大きい職員に対するほど、より厳しいと言えます。公務員として仕事を進めていく上で、関係業者からの情報の収集や意見調整などは欠かせませんが、いやしくも国民の疑惑を招かないように注意して公務を遂行することが大切です。

「公務員は公正であるだけでなく、公正らしくなければならない。」

 

 

 

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