・業者からの差し入れらしいものに気づかなかったこと
安いと思った時点で、頼んだものと料金を精査していれば、差し入れに気づくことができたでしょう。いったん、支払いが終わってしまうと、その料金を後日返却しても、差し入れされたという事実は残りますし、そもそも容易には料金の返却を受け取ってくれないでしょう。こうしたことがあれば、たとえ業者には何らの便宜を図らないにしても、担当者と業者の関係がギクシャクし、業務の遂行に影響することが考えられます。
・業者からの差し入れに気づいた後も、何の措置も取らなかったこと
差し入れに気づいた後には、その差し入れ分に相当する金額をお店又は業者に支払い、また、お店から再度、料金明細と領収書をもらうなど、返還したことを明らかにしておく必要があります。
松田君は、最初は、業者と一緒に食事に行くことも問題があるのではないかとためらっていたのに、今ではこの程度なら大きな問題にならないだろう、と自己の行動を正当化しています。この程度ならいいだろう、別に業者を特別扱いしていないからいいだろうと自己の行動を正当化しているうちに、取り返しのつかない腐敗に陥ってしまうのです。
汚職のきっかけは、「公務員の側から持ちかけた」、「はじめからそのつもりで」ということは少なく、このケースのように、ちょっとしたお土産や、差し入れなどの小さいところから始まるケースが多いのです。