日本財団 図書館


シート78

 

汚職の末路

 

汚職は、公務に対する国民の信頼を著しく損ねます。公務遂行に対する国民の協力は得にくくなり、さらに、いったん損なわれた信頼を回復するには、長い年月と多大な努力を要します。また、汚職事件が起きた組織の不名誉にとどまらず、公務全体の不名誉となり、公務員すべてが長期間肩身の狭い思いをすることとなります。実際、汚職が公務や社会の秩序に与える影響に鑑み、各国とも汚職については、刑事罰をもってこれを防止しようとしています。

このように、汚職は本人だけにとどまらず、上司、同僚、部下、家族などに計りしれない損害を与えます。より具体的には下記のような損失を被ります。

 

1 汚職をした職員の末路は悲惨です

 

・懲戒処分を受けます。特に、免職になる可能性が大きいでしょう。

・刑罰に処せられます。

・免職にされたら定年までに得られたであろう給与所得機会を失います。免職後に民間企業などに就職することは困難な場合が多いでしょう(贈賄業者が、免職となった公務員を自分の企業に雇用してくれることはまずありません。)。

・年金の受給権を喪失したり、減額されます。

・賄賂は没収され、手元には残りません。

 

2 周囲の者も不幸な結果になります

 

・家族

汚職をした公務員の家族として、近所の冷たい目にさらされ、子供が学校でいじめられたり、離婚や家庭の崩壊につながりかねません。

・上司

部下に対する指導、監督が不十分として、監督能力を問われます。

・職場

他の職員も同様に汚職しているのではと疑惑を受け、職場全体が信頼を損ない、職場の雰囲気が沈滞します。

 

3 汚職は割に合いません

 

汚職の金銭上の損得を計算してみましょう。たとえば、高校卒勤続25年、45歳の係長が500万円の賄賂を受け取って懲戒免職となった場合に失う金銭的損失は、

給与の喪失 9,000万円(46歳〜60歳まで15年勤務、年収600万円として)

年金の喪失 4,000万円(61歳〜80歳まで20年受給、年額200万円として)

合計 1億3,000万円

こうした金銭上の損失に加え、精神的・社会的にも苦しむことになります。損得を計算すると、汚職は決して割に合うものではありません。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION